GiFT monologue-5「行動フォーカスとあり方フォーカス」

行動や実践になかなか結びつかないティーチングやコンサルティングへのアンチテーゼとして、コーチングが誕生したのであれば、それは、そもそも「行動フォーカスの手法」ということができます。「行動を起こすためには、アドバイスされるよりも、自分で気づくことの方が効果的」となり、それを煎じ詰めると、「答えはあなたの中にある(そこに気づくだけ)」というコーチングの哲学になります。

では、自分の内側にない知識や、外の世界にある知見には、どうアプローチするのでしょうか。それも同様に、無いことに気づかせ、それを手に入れるための行動にフォーカスをすることになります。

目標を明確化して、行動にフォーカスするコーチングは、「前へ、前へ」「速く、速く」という性格を帯び、そこがコーチングの価値になったりします。全てが個人で完結し、個人の努力で何とかなる“独力領域”のコーチングであれば、それが機能します。例えば、フィットネスやスポーツの世界はその領域と言えるかもしれません。

上記と少し似ていますが、行動にフォーカスする代わりに、「ビジョンにフォーカスする手法」もあります。望む未来を生き生きとクリアに描く、時に高く掲げることにより、そこに向けた自発的な行動を導くという方法です。

以上のような、ビジョンと目標と行動を組み合わせるアプローチは、コーチングの王道と言えるかもしれません。

ところが、多様なステークホールダーに囲まれて、そのパワーバランスの中で、最適な意思決定を実現していかなければならない場合はどうでしょうか。複雑な関係性の中では、最適な行動でも、どのような軸(一貫した哲学や思想)のもとに、どのタイミングで、どういう態度とあり方で起こすのかによって、相手の受け止め方が変わってきます。当然、結果もそれによって影響を受けます。相手が株主であっても、取引先であっても、社員であっても同様です。

成果の確度を高めるためには、行動という一つ一つの“アプリケーション”だけでなく、あり方といった“OS”が問われます。そのOSの“アップデート”には、目標や行動の前にある、出発点や現在位置、つまり「起点となる自分」を深めていくことが必要です。GiFTパートナーズが大切にするアプローチです。