GiFT monologue-15「ホールドする」

所謂、“ワークショップ業界”でよく使われる言葉の一つに「場をホールドする」があります。「場」という言葉を使うので、グループをイメージするかもしれませんが、私がこの言葉を初めて聞いたのは、アメリカでカウンセリングを学んでいた時でした。つまり、1対1のケースです。「良いカウンセラーは、スペースをしっかりホールドできている」という具合に使われていました。
 
当時、私が理解したカウンセリングサイコロジー文脈での“ホールドする”とは以下のようになります。
 
カウンセリングでは、セッション中にクライアントは張り裂けんばかりに泣き叫んだり、カウンセラーにものすごい剣幕で怒りをぶつけてくることがあります。カウンセラーは、その感情に巻き取られることなく、反応するのでもなく、なだめるでもなく、無視するでも、流すでも、否定するでもなく、クライアントが安心して感情を発散(爆発?)し続けることができるように、その場に一緒に居ることができる必要があります。言い換えると、クライアントがどういう状態になっても、目の前のクライアントと一緒に居続けることができること。自身の在り方が崩れないこと。それが場をホールドできている状態でした。その限りにおいて、カウンセリングのセッションが、セッションとして継続し得るのです。
 
コーチングでも同様です。このコーチであれば、どんなことを言ってもしっかり受け止めてくれる。ジャッジされない。安心できる。失敗もできる。本音を言える。弱音も見せれる、時には怒りも表現できる。それらの一つ一つが、クライアントの内的な成長の過程であると見做してもらえるし、時には、その感情をセッションで扱ってもらえる。その信頼関係がベースあってこその、“次”です。
 
“ホールドする力”は、カウンセラーにとっても、コーチにとっても、最も重要な能力のひとつだと思うのです。