GiFT monologue-22「サーチライトと提灯」

GiFT partnersのクライアントは、創業者が中心です。30代40代の若い経営者が多く、その多くがビジョナリーです。彼らの描く未来の話を聞くと、その分野の門外漢である私でも、引き込まれ、その実現の可能性にワクワクします。

彼らは不透明な未来に、強力な「サーチライト」を照射します。その先には鮮明で具体的な映像が浮かび上がります。

「今こういう状況にある。しかし、これからはこういう時代だ。この社会課題がより顕在化してくるだろう。そこにこの技術とビジネスモデルで解決を図ろうとするのが我々だ。市場規模はこのぐらいになると言われている。そのトップシェアを取り、こういう世界を実現しよう!」

ビジョンを、自分の生きざまと重ね合わせて語るのです。そのビジョンと物語に共感した人たちが彼の元に集い、そこに向かう炎がより大きく燃え上がっていきます。

ところが、この仕事をして、それとはまた異質な経営者の存在にも気づきました。語弊を恐れずに言えば、「“ビジョン”ではない人たち」です。彼らは遠く未来を照らすサーチライトではなく、足元を照らす「提灯」の方が大事だと考えます。

「そもそもこの変化の激しい時代、何が起こるかわからない。誰も未来を見通せない。であれば、より重要なのは見えない未来を描こうとすることよりも、自分たちが今どこにいるのかを知ること。つまり、足元の灯りじゃないか。提灯の明かりを頼りに、こっちかな、あっちかなと、そろりそろりと歩く。何に出会うかわからないからエキサイティングだし、ワクワクする。

今は誰か一人の強烈なサーチライトが照らし出した方向に進むのではなく、メンバーのそれぞれが自分の手に提灯を持って、多様な方向に探求をしていく時代だ。だからこそ、お互いの位置を知るためにコミュニケーションを取ることがより一層大切になるんじゃないか」

どちらの考え方にも、深い共感があります。