GiFT monologue-24「エグゼクティブ・コーチと経営コンサルタント」

目的と手段が合っていない場合、それは依頼主にとっても、依頼されたプロフェッショナルにとっても不幸です。

例えば、お客様がある目的に対して、コーチとコンサルタントのどちらに依頼をすべきかをどう判断すればよいのでしょうか。

シンプルに考えて、課題の解決にフォーカスして、専門的なアドバイスが欲しいのであれば、間違いなくコンサルタントでしょう。そのためにも、コンサルタントには、その分野の深い専門性、幅広い知見、豊かな経験のあることが不可欠です。コンサルタントは課題をいったん引き受け、調査・分析し、解決策を提案にまとめて、そのアウトプットをクライアントにプレゼンテーションします。

では、コーチはどうでしょうか?

“アウトプット”をコーチに求めるのは違います。もちろん、コーチが何かの専門性を持っているのは良いことでしょうが、コーチがそこに拘ると、コーチングがコンサルテーションになってきます。また、コーチは課題のオーナーシップをクライアントから引き受けることは一切ありません。コーチを雇っても、課題について考えるのはクライアント自身です。もちろん、アウトプットを出す責任もクライアントにあります。

では、なぜコーチなのでしょうか。

コーチは「質問」をすることで、クライアントがその課題を多面的に見ることを促します。その結果、クライアントは、課題に対して別の見方、別のアプローチ、別の解釈の可能性に気づくようになります。あるいは、コーチは「問い」を通して、クライアントが自分自身を深めていくことを促します。その結果、クライアントと課題との関係性が変わっていきます。

より本質的には、コーチはコンサルタントと違って、課題解決よりもクライアントの成長に軸足を置いているところがあります。従って、コーチはクライアントと長期的に伴奏する存在であり、時には寄り添う存在でもあります。

以上のように、コーチングとコンサルティングは、その目的もアプローチも違います。二者択一というよりも、両者をうまく使い分けていく智慧がクライアント側に必要になるのかもしれません。