もしかしたら、先ほどの問いは、その立て方そのものが間違っているのかもしれません。
「地球の資源は有限で、環境問題、特に地球の温暖化は待ったなしの状況にある」
今や、この認識は世界の最大公約数になりつつあります。その時代認識を、本質的な意味で私たちはどう自分事化できるのか。
メリット・デメリットを越えて、私たちはどう生きたいのか、地球をどうしたいのか、という問いに真摯に向き合う。“我々は地球社会を生きている”、そして“地球は有限である”という人類の共通認識の中で、それぞれの生き方や企業活動をどうシフトさせていくのか、真剣に考え、行動に移す必要がある。そして、SDGsはその手段になりうる、ということです。
企業活動にフォーカスすれば、
・CSRではなく、事業とSDGsとを真っすぐつなぐこと。
・「社会課題をビジネスを通して解決する」という哲学を生きること。
・自らの持続可能な社会における存在意義を明らかにして、そこに企業活動のすべての実体を伴わせること。
これらが時代から問われているチャレンジです。
私がコーチングをしているベンチャー企業の若手経営者たちは、SDGs以前から、企業活動や考え方を本能的にそちらにシフトさせているように感じます。彼らにその自己認識はありませんが、まるで“社会起業家”のようでもあります。
(そもそも、企業が社会をより良くするために、人々をより幸せにするために存在するものであれば、もとから起業家・社会起業家の区別は無いものだったのかもしれません)
NPOは市民社会の実現を追求し、社会起業家はソーシャル・インパクトを追求する。それらに加えて、企業は地球を持続可能にするために、山積する社会課題を“ビジネス”と言う手法を使って解決する。CSRではなく、“地球にやさしい商品”でもなく、事業そのものを通して社会課題を解決する。人間の欲望を刺激し、需要を掘り起こし、欲求やニーズに応える商品・サービスを提供するのではなく、地球の持続可能性に貢献する、あるいは循環していく“ビジネス”とはいったい何なのか。あるいは、持続可能性への人々の願い・想いに応え、あるいは、その危機意識を越えていく“サービス”とはいったい何なのか。求められているのは、それらの地平を切り拓くこと。
“マーケット”という世界の中で一つの基準を争う競争、ではなく、「経済的価値と社会的価値の両立」というような複数の価値の板挟みの時代だからこそ、地球を持続可能にするために、人間だけではなく、生きとし生けるものたちのwell-beingのために、ベンチャーマインドを発揮させる領域は限りなく広がっていると思うのです。