クライアント同士をつなぐ

コーチングの仕事をしていると、最先端の話や、その会社独自のクリエイティブな取り組みについて話を聞く機会も多い。

「ああ…、今の話は僕とではなく、あの経営者としたら、もっとクリエイティブなディスカッションになるのに」と思ったりする。ちなみに、セッションではダイアログを深めはするけど、“ディスカッション”はしない。だから、クライアントもそういう役割をコーチである僕に期待はしていない。

かつてはセッションの中でそういう役割も求められて、議論やアイデア出しに付き合ったこともあった。でも、正直に言って、その時間のパフォーマンスは低かったように思う。要は、大した貢献が出来なかった。もちろん、僕にそういう能力が足りないだけで、身に着ける努力をもっとすればよいのかもしれない。

話を戻すと、そんな反省や、クライアントにもっと貢献したい気持ちもあって、セッションとは別にクライアントである経営者同士を意識して繋ぐようにしている。すると、少しずつだけど嬉しいことが勝手に起こる。

それは、そこに“ビジネスが生まれる”と言うことではなくて、コーチである僕を飛び越えて、お互いの社員を交えて学び合う勉強会が主体的に開催されること。それぞれの会社や経営者が、その世界・業界では名の知れていることが多いので、その強みの秘訣・ポイント・仕組は何か、それぞれが聞きたいことを事前に共有して、担当の役員や社員を呼んで、10数名ぐらい勉強会が催されている。

そのことで僕自身が素敵だなと感じるのは、会社の規模や売上高は関係なく学び合う姿勢があること。そこで、何よりも大切になるのは、経営者同士に信頼関係があることと、お互いにリスペクトがあること。信頼関係の構築には時間がかかる。だけど、その時間の短縮に、介在した“コーチ”の存在が役立っているのなら、つまり、双方からのコーチへの信頼が担保になっているのであれば、それは、とても嬉しく、光栄なことだ。