GiFT Monologue-2「コーチングの“本質”はどこにあるか」

コーチングには、いろいろな定義があります。例えば、最大公約数的には「相手の才能や能力を引き出すためのコミュニケーションスキル」と言えるのかもしれませんし、その定義の一部分にフォーカスをして「自己認識力(メタ認知)を高めることを目的にした対話」とも言えるのかもしれません。そのような前提に立って、改めて「コーチングの本質はどこにありますか?」と問われたら…、その究極の答えは、「コーチングの本質は、そのコーチの生き方・生きざまにあります」となるのだろうと思います。
 
話は少し逸れますが、以前、サンフランシスコにある大学院でカウンセリング・サイコロジー(臨床心理学)を勉強していたことがあります。サンフランシスコ・ベイエリアでは、カウンセリングを受けることは、とても普通で自然なことでした。要は、人々は、ジムに行って体を鍛える・健康に保つのと同じ感覚で、心の健康・メンテナンスのためにカウンセリングを受けるのです。そのカウンセリングには、サイコダイナミクス、ゲシュタルト、サイコシンセシス、ユング、認知行動療法etc、様々な学派や流派、理論があります。しかし、クライエントが何を基準にカウンセラーを選んでいるのかというと…、それはカウンセラーの流派や理論ではなく、例外なくカウンセラーとの相性でした。
 
相性とは、クライエントにとって、そのカウンセラーと一緒に過ごす時間が“いい感じ”と思えるかどうか。言い換えると、そのカウンセラーの持つ雰囲気、間、眼差し、声、呼吸の深さに居心地の良さを感じるかどうかです。そのすべてに、カウンセラーの生き方や生きざまが反映されています。コーチも同様でしょう。
 
GiFTパートナーズのクライアントは“経営者”です。経営者とは、結果に全責任を負う人です。自分で決めたい人たち、結果を出すことに自負のある人たち、会社経営を通して社会に自己表現をしたい人たち、だからこそ、安易に他人にアドバイスを求めたがらない人たちです。そんな彼らが「コーチに何を求め、コーチに何を問うのか」というと…、やはりその究極は、セッションで2時間近くを1対1で向き合うことになるコーチの等身大の生き方・生きざまから感じる何か、だろうと思うのです。