GiFT monologue-8「コーチの資格」

おそらく、今でもそうだと思うのですが、前職のコーチAの採用基準は、「ネイティブ・コーチ」であること。つまり、特別な勉強をしなくても自然にコーチング的なコミュニケーションが出来ている人、そういう在り方をしている人でした。いかなる団体から発行されたものに関わらず、コーチングの資格の有無は、入社の基準ではありませんでした。資格そのものに本質はないという判断です。ネイティブ・コーチを採用して、社内のコミュニケーションの渦の中で鍛え上げていくのが、そのスタイルでした。

そもそも、コーチングは国家資格ではありません。国内外の民間団体(例えば、国際コーチ連盟や生涯学習開発財団など)がそれぞれの基準で資格を発行しているだけです。要は、誰でも名乗ることができます。クライアントの立場に立つと、「資格の有無」はコーチを選ぶ際の有効な判断基準の一つになるのかもしれません。基準は資格以外にもいろいろあります。独立しているコーチの経歴を見れば、いろいろ書かれています。複数のコーチングスクールを修了していること、海外の有名なコーチに師事していること、その人が催すセミナーに参加したこと、海外の大学が催す公開講座に参加したことetc。おそらく、一番信頼に足るのは実績でしょうが、「私のコーチングのおかげで、クライアントはこんな成果を手に入れています」とアピールすることは、“コーチらしくない”ような気がしています。

ちなみに、私は資格は持っていません。経歴には、コンサルティングファームを2社経験していること、コーチAで業績トップのコーチの一人だったこと、ビジネススクールでMBAを修得していること、アメリカの大学院で臨床心理学を学んだこと、全てを捨てて世界の旅に出かけたこと、参禅していた時期があること、無職時代があったこと、青年育成に関わっていること、などを書いています。その理由は、コーチとしての力は、勉強や資格ではなくて、コーチその人のキャリアや生き方の中に滲み出ると思うからです。