GiFT monologue-28「組織の“スピード”をダイアログする」

「スピードにそんなにこだわるのはなぜですか?」という質問に対して、返ってきたのは次の言葉でした。
 
「スピードは、その仕事への熱心さを一番わかりやすく相手に伝える指標だからです」
 
これは、GiFT partnersのクライアントである経営者の言葉です。一般論として、仕事における「スピードの大切さ」は理解しているつもりでしたが、ハッとさせられました。
 
GiFT partnersの一番古いクライアントでもあるこの会社は、非常に独創的なECカンパニーです。海外にも支社を持ち、創業以来十数年間、時代の荒波を乗り越えながら、右肩上がりの成長を続けています。
 
毎年、テーマを決めて全社を上げて取り組むのですが、2019年のテーマは「スピード」です。経営者である彼の意思決定のスピードと、会社全体がそこに反応して動くスピードにギャップの広がりを感じつつある。更に、時代の変化のスピードを追い越すために、会社全体のスピードを更に上げていかねばならない。彼の危機感のひとつの現れです。
 
直近のセッションでは、ダイアログをしながら、彼自身の問題意識を掘り下げていきました。
 
「確かにスピードなのですが、自分の課題認識と深く照らし合わせるとき、“スピード”という一言で表現することに、どこか違和感を覚えているんです」
 
この言葉をきっかけに、“スピード”に関するモヤモヤを深めていくことになりました。
 
「日本語で“スピード”と言うときに、いくつかの“はやさ”を一緒に表現してしまっているのかもしれません。例えば、「速さ」と「早さ」のように…」
 
そこで、今度は英語で「はやさ」を調べると、いろいろな表現があることに気づくのです。例えば、①Early、②Fast、③Quick、④Speedy、⑤Rapidのように。
 
彼自身が会社に課題と感じている「はやさ」は、いったいどれなのか。
更にダイアログを深めていきます。
 
「思うに、物理的なスピードではなく、反応や対応のスピードなんです。英単語で言えば、③Quickが一番近い。
 
英語で言うSpeedは、技術論だと思うのです。仕事を知り、熟達すれば身に着いていきます。しかし、Quickは違う。それは、あり方であり、態度だからです。そう、自分が課題に感じている“スピード”は、Quickです」
 
この言葉を踏まえて、次のセッションからは、そのコンセプトを踏まえたこれから1年間の会社の施策、仕組み、研修、グループコーチングなどの具体的な取り組みを考えていくことになります。
 
(ちなみに、2018年は「創造力」、2017年は「仕事を楽しむ」、その前は「人間力」でした)