GiFT monologue-16「Being with>Doing to」

私は、エグゼクティブ・コーチとしてのキャリアを中断して、サンフランシスコにある大学院に臨床心理学を学びに行きました。その大学院の名はCalifornia Institute of Integral Studies(CIIS)と言います。優秀なカウンセラーを輩出する大学院として、その道では知られた存在です。

CIISでの3年間が始まって間もない頃、名物教授の一人が私たちに言いました。

「CIISの3年間であなたたちが本当に学ぶべきことは、ただ一つ。目の前のクライエントと一緒に居れるようになること。ただそれだけ。でも、一番価値があることなの。真の意味で目の前の人と一緒に居ることができればね、今この瞬間(here and now)を扱えるようになる。それさえできれば、あなたたちはサイコ・セラピストとしてバーンアウトせずに、素晴らしい、エキサイティングなキャリアを歩んでいくことができるわ。セオリーやメソッドのいろいろは、プロフェッショナルとして生きていく中で、自分に合うものを一生をかけて身に着けていけばいい」

“Being with”とは「目の前の人と、一緒に居ること」。それに対して、“Doing toと”は「目の前の人に対して何かをすること、してあげること、働きかけること」です。

“Being with”の真髄を、頭ではなく心で掴む。体験として掴む。これこそがCIISにおける私の3年間のチャレンジになりました。

「“一緒に居る”とはどういうことなのか」
「いま自分は、目の前の人と“一緒に居る”ことができているのだろうか」

これは、エグゼクティブ・コーチとして、今も私が自問し、探求し続けているテーマです。