GiFT monologue-19「目線を合わせる」

前職のコーチAの入社試験で、当時、社長だった伊藤守氏との最終面接で言われたことです。

「君は、経営コンサルタントの出身だね。コーチはコンサルタントとは違う。相手がどういう人であっても、アドバイスをする時のような上からの目線でもなく、取り入ったり、或いは、過度に遜(へりくだ)るような下からの目線でもなく、常に相手と同じ目線で接する必要がある。君にできるかな?」

もちろん、「出来ます」と答えたのですが、それは想像していたよりもずっと難しく、入社してからずいぶん苦労しました。

コーチが自分の“正しさ”を前面に押し出せば、相手も自分の“正しさ”を押し出してきます。それは知識であっても経験であっても分析であっても洞察であっても同様です。そこで起こるのは、正しさ同士のぶつかり合いです。それではコーチングになりません。コーチが相手に媚び諂(へつら)えば、それは太鼓持ちであり、単なるご機嫌取りであって、やはりコーチングにはなりません。

仮に、相手が無名の若者であっても、著名な成功者であっても、常に相手と同じ目線の高さで、ニュートラルに向き合うことができること。

長い間、コーチとしての座右の銘でしたが、いま、振り返って思うのは、これは人生全般においても大切な在り方であるということです。